先日、現在公立の小学校で導入されている、35人学級を40人学級に見直しを求めるというニュースが報道されていました。
いじめや不登校などで目立った改善が認められないということが理由のようですが、クラスや受講生の人数を考える場合、教育心理や学習心理・社会心理学の観点からも検討することが大切です。
少し話は変わってしまうようですが、皆様は日中の空いている電車と、通勤通学時間の人口密度?!の高い満員電車、どちらが快適だと感じるでしょうか?
当然ながら日中の空いている電車の方が快適ですね。
満員電車の方が快適だと感じる人は少ないと思います。
では何故、満員電車が不快と感じてしまうかと言うと、人には「パーソナルスペース」と言って、他人に侵入されるとストレスを感じてしまう、目に見えない縄張り・空間があるからです。
パーソナルスペースの観点からすると、人がリラックスするためには横は50cm程度、後方は80cm、前方はそれ以上の空間が必要とされます。
ちなみに、このパーソナルスペースを侵害されると、人は血圧や心拍数が上昇する、イライラするなど様々なストレス反応があらわれます。
こういったことから考えますと、小さな教室に沢山の生徒さんを詰めこんで人口密度?!の高い状態で授業や研修を行うと、常にパーソナルスペース内に他人がいることになるため、不快となり、集中力を大幅に欠くこととなります。
特に満員電車では些細なことでトラブルが起こるように、教室内の密度が高まると、小さなことが集中力を欠いたり、おしゃべりや授業中うるさくなる原因となったり、場合によっては学級崩壊の引き金となったりします。
(実際に、とある学校での講義ですが30名前後で実施していた時はどの学生さんも大変熱心に講義を受講していましたが、60名程度にしたところ、これまで熱心だった学生さんの一部が大幅に集中力を欠くようになりました。)
また他にも、大人数での授業には心理学的に望ましくない点があります。
それは人数が一定以上増えると、教師・講師の目が届かなくなる(物理的にも死角が生れます)、名前が覚えきらなくなる、一人一人の印象が薄くなるなどするため、生徒さんの「匿名性」が高まってしまいます。
インターネットの書き込みのように、実名がわからない、匿名性が高くなると、何をしてもわからないないだろうという心理が働き、生徒さんは授業に集中せず、うわの空になったり、落書きをしたり、内職を始めてしまったり(社会的手抜き)、場合によっては携帯電話をいじり始めたりしてしまう危険性が高くなります。
ちなみに、このような理由から日本心理教育コンサルティングでは教育効果を高めるために1回の研修などでの受講者の数を28名に設定させていただいております。
もちろん、状況によってはそれ以上の数でも実施させていただくこともありますが、人数が増えると、集中力等の面だけでなく、いろいろな作業やワークを全員が終えるのに少しずつ少しずつ時間が積み重なり、予定している内容が終わらないことなども増え始めます。
費用面を考えた場合、出来るだけ多くの人数で授業や講義を行った方が断然良い訳ですが、
教育・学習効果の高い授業、質の良い教育を行おうという場合は、1クラスの人数が多くなり過ぎないよう配慮することが重要に思います。
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